i want,
……………
「あおー!おはよっ」
教室に入ると、朝からテンションの高い綾がぶんぶんと手を振ってきた。
その髪は、あたしと同じ黒色。長かったツインテールも、今では肩までしかない。
「ねね、見てぇや!綾今日英語の宿題やってきたんよ!」
「いや…宿題やるのは当然やろ?」
「綾にしては凄い進歩じゃ!?」
「まぁ…そう言われたらそうか」
自慢気にノートを見せる綾の隣に、バサッと自分の荷物を置く。
三年のクラス替えでは、綾と同じクラスになれたのだ。
「んでね、ここがわからんかったんじゃけど…」
「ん?どれさ」
あたしの机にノートを置き、綾は椅子を動かす。あたしもカバンを横にかけて椅子に座った。
綾は三年になって、驚くほど勉強を頑張っていた。どうやら、さとと同じ高校に行きたいらしい。
さともはっきり言って頭がいいわけではないが、それでもその志望校は、綾の今のレベルでは到底無理だ。
綾は愕然としていたが、先生に頑張れば追い付けるとはっぱをかけられてから、俄然やる気が出たらしい。
単純といえば単純だが、前向きな所が綾の長所。あたしも出来る限り協力はするつもりだった。