i want,
綾の差し出したノートを見て、参考書と照らし合わせる。
「あぁ、これか。これさ、現在完了の…」
「あおっ!」
丁度説明をしかけた時、教室の入り口からあたしを呼ぶ声がした。思わず二人視線を向ける。
そこには、深刻な顔をしたさとが立っていた。
教室が一瞬静まる。
あたしは躊躇いながら、椅子から立ち上がった。
さとは場の空気を読んで、一歩廊下へと下がる。あたしもそれに従い、廊下へ出た。
「どしたの?」
教室のドアを半分閉めながら訊く。さとは真っ直ぐにあたしを見て、言った。
「…垣が、来ちょる」
久しぶりに、心臓が跳ねた。
瞬きを忘れ、食い入る様にさとを見つめる。でもその実、何も見えてはいなかった。
…ヒカルが、来た。
あの冬の事件の日から、一度も学校には来ていなかった。
だから会うこともなかったし、話すこともなかった。
そんなヒカルが、今。
「別にだからどうだってわけじゃないけど…あおには言っちょいた方がえぇと思ったけぇ」
そう言ってさとは、あたしの頭に手を乗せた。そこであたしはようやく瞬きをする。
「あぁ、これか。これさ、現在完了の…」
「あおっ!」
丁度説明をしかけた時、教室の入り口からあたしを呼ぶ声がした。思わず二人視線を向ける。
そこには、深刻な顔をしたさとが立っていた。
教室が一瞬静まる。
あたしは躊躇いながら、椅子から立ち上がった。
さとは場の空気を読んで、一歩廊下へと下がる。あたしもそれに従い、廊下へ出た。
「どしたの?」
教室のドアを半分閉めながら訊く。さとは真っ直ぐにあたしを見て、言った。
「…垣が、来ちょる」
久しぶりに、心臓が跳ねた。
瞬きを忘れ、食い入る様にさとを見つめる。でもその実、何も見えてはいなかった。
…ヒカルが、来た。
あの冬の事件の日から、一度も学校には来ていなかった。
だから会うこともなかったし、話すこともなかった。
そんなヒカルが、今。
「別にだからどうだってわけじゃないけど…あおには言っちょいた方がえぇと思ったけぇ」
そう言ってさとは、あたしの頭に手を乗せた。そこであたしはようやく瞬きをする。