i want,
「…大丈夫か?」

心配そうに覗き込むさと。多分、思い詰めた表情をしていたんだろう。

「うん…大丈夫、」

自分に言い聞かせる様にそう呟き、あたしは小さく深呼吸した。


来るときが来たんだ。
それだけだ。


「…ごめん、綾に問題教えたげて」

「わからないとこ、聞かれちょったんや」、そうさとに頼み、あたしは前を向く。


「行かんにゃいけんとこ、あるけぇ」


我ながら、しっかりとした口調だと思った。

さともそう感じたのか、あたしの顔を見て「わかった」と頷く。

心配性なさとを安心させるため、あたしは小さく笑って、歩き出した。


小さく波打つ心臓が、痛くないと言ったら嘘になる。

でももう、立ち止まってばかりはいられないから。


止めていた終わりへのカウントダウン。

あたしは今、それを動かし始める。

一歩一歩、確実に。












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