i want,


……………

さとに連れてこられたのは、懐かしい公園だった。
こんな寒い冬の日、度々お世話になったホットココアのある自販機もあの頃のまま。

「ねぇさと、何?」
「ん?いきゃーわかるっちゃ」

何を聞いてもずっとこれ。
どこかご機嫌な横顔が、夜の闇に浮かぶ。
あたしは諦めて、ため息をついた。

真っ暗な空気に白い息が映える。

そのコントラストは、いつかの修学旅行を思い出させる。

懐かしい、痛み。

「おっ、来ちょるわ」

さとの声で顔をあげた。
視界に飛び込んできた光景に、驚きすぎて一瞬瞬きを忘れる。

「あおっ!」
「うそ…真依?」

公園のベンチ。
すらっとした手を空に掲げ、大人っぽくなった笑顔を向ける。
それは紛れもなく、真依だった。
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