i want,

「そんな驚かんでよ。あたしの口からヒカルの名前が出たからって」
「だって、あお…」
「もう4年も前のことなんよ?中学生の頃やよ?いい加減思い出になっちょるっちゃ」

あたしのこの言葉に、嘘はなかった。

ヒカルがいなくなったのは、もう4年も前のこと。
時が流れるにつれ、あたしの中のヒカルは思い出になっていく。

思い出さないことがないと言ったら、それは嘘になるけど。

「あたし、新しい飲み物買ってくるわ」

空気を仕切り直そうと思って、あたしは立ち上がった。
あたしがいては話しにくい話もあるだろうと思ったから。

言葉を探すみんなを背に、自販機に向かう。
向かいながら、小さな胸の痛みを感じる。


多分、ヒカルの名前を自分の口から出したのが、随分久しぶりだったから。














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