i want,
そこまで言って、ヒカルは言葉を切った。
俺は落としていた視線をヒカルに向ける。
頭の下にあった腕が、ヒカルの顔の上にあった。
丁度目の上に。
ヒカルの表情を、隠すかの様に。
「泣かせることしか、出来んかったのにな」
そう呟いた口元から、次第に笑顔が消える。
声をかけたかったが、何を言っていいかわからない。
そんなことないと、どうして俺が言えるだろう。
そんなのただの気休めだ。
矢槙は確かに、泣いていたから。
「あー…」
何かを吐き出すかの様に、呟く。片方の腕は目を隠したまま、もう片方の手で、胸の辺りの服を掴む。
「…いてぇ、」
…それが多分、ヒカルの答えだった。
俺は耐えられず、ヒカルから視線を反らす。
机の方を向き、頭を抱える様にして、「ヒカルは、悪くない」と呟いた。
ヒカルは何も言わなかった。