i want,

間を空けて二人座る。
いい具合に冷えたアイスを、何を話すわけでもなく食べていた。


「菊地って、」
「え?」
「ヒカルのこと好きなの?」

唐突で直球な田口の問いに、思わず古典的なむせ方をしてしまう。

そんなあたしをいぶかしげに見つめる田口。

「な、なんでさ」
「あからさますぎでしょ。そうなのかなって思ってたけど、今日の矢槙の態度で確信した」

そう言われると、二の句が次げなかった。
ばつが悪そうにうつ向く。

「…そんな、わかりやすかった?」
「物凄く。意味深に二人見てたり、菊地の表情気にしたり」
「このこと、垣枝に…」
「言わないよ、別に」

淡々と返す田口に、ほっと安堵の息を漏らした。
今更ながら、田口の観察力に脱帽だ。だってみどの気持ちは、いつも一緒にいる歩夢や麻依でさえ気付かなかったんだから。

「…でも、」

田口は、食べ終えたアイスの棒を上手い具合に指で回す。


「ヒカルは多分、無理だよ」


それはあまりにも自然に田口の口からこぼれて、あたしはそれがあたかも周知の事実であるかの様な錯覚さえ覚えた。

整った横顔に向けて、ゆっくり口を開く。

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