i want,
「あおがおらんかったら、多分綾、立ち直れんかったよ」
「綾…」
「まぁ…立ち直ったわけじゃ、ないけどさ」

少しだけ苦笑して、綾は続けた。

「今でも夢には神ちゃん出てくるし…朝起きて、無意識に携帯チェックしちゃうし。神ちゃんからメール来てないかなってさ。バカみたいだけど」

「そんなことない」、きっぱりとそう言い切るあたしに、綾は少しだけ驚いた表情をした。

でもすぐに、「ありがとう」と微笑む。

「多分…神ちゃんを忘れることなんか、できん。もしかしたら将来違う人を好きになったりするかもしれんけど…今はまだ、そんなん想像できんのんよ。神ちゃんがまだ、側におる気がするけぇ」

そう言って、遠くを見つめる綾。
長い睫毛が、小さく揺れた気がした。


…綾とさとの関係は、永遠の様な気がしてた。

そんなものあるはずないと思っていたけど、二人ならそれを見せてくれるんじゃないかって、ずっと。

簡単な恋なんかじゃなかった。
だから綾が言うことは、痛い程わかる。

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