i want,
……………
入り口と同じように段ボールの貼り付けられたドアを開けると、一瞬で現実世界に戻って来た。
明るい昼の光が両目に眩しく染み込む。
「あ~、ようやくでてきよったし!」
廊下の端に座っていた歩夢が、立ち上がって言った。
見るとみんな既に揃ってる。
当然と言えば当然か。あたし達は、こっそりアイスを食べていたわけだし。
「何しよったんよ」
「や、別に…ねぇ?」
助けを求めて田口に視線をやるが、当の本人は知ったことかと飄々とした表情をしている。
「怪しいんだー。大体なんであお、田口とペアになったんよ~」
「や、それはさ!その…」
益々答えにくくなる。
真依はさと、みどを垣枝にしようとすれば、必然的に残ったのは卓也と田口。
男子には人気の田口だけど、その態度から女子にはそうじゃないことは知っての通り。そんな田口を、歩夢に押し付けるわけにはいかない。
…なんて、いくらあたしでも本人を前にして言えるわけがなくて。