i want,

「生まれ変わり…か、」

空の星を探しながら、ヒカルが呟いた。
雲間から覗く星が増える。


「…遠いのぉ」


ヒカルの言葉は、静かに澄んだ夜へと消えていった。
あたしはそっと、目を閉じる。

遠い。
今輝いている星までの距離よりも、果てしなく。

それはずっと、二人の間に感じていた距離のようで。

小さく、胸が痛む。


「…いつか、生まれ変わろうか」


隣から聞こえたヒカルの声に、あたしは思わず目を開けた。
夜の空気が目に染みる。顔をあげる前に、ヒカルが言った。


「次生まれる時は…ひとつになって、生まれるか」


瞬きをしないまま、あたしは顔を上げた。
空を見ていたヒカルもまた、ゆっくりとあたしの方を向く。

夜の闇の中、二人の目が合った。

締め付けられる様な胸の痛みに、視界が揺れそうで焦る。

それでもあたしは、ヒカルから目を反らさなかった。

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