i want,
…それはあまりにも、馬鹿みたいな約束。
約束と呼べるのかもわからない。
保証なんかどこにもない。
それでも今、あの想いを満たすためには、この約束しかなかった。
いつか、ひとつになって生まれることができたなら。
その時きっと、この想いが満たされる。
この想いが、ひとつになれる。
だから、それまでは。
「…うん」
白い息を吐きながら、あたしも小さく頷く。
この約束だけが、唯一あたし達の想いを救ってくれそうな気がしていた。
だからそれまでは、救われないままでも。
埋まらないままでも、いいから。
「…ずっと、好きやった」
…唐突なヒカルの声が、世界の動きを止めた。
一瞬、呼吸すら止まった錯覚に陥る。
瞬きを忘れたまま、あたしはゆっくりとヒカルの方を向いた。
「ちゃんと言葉にしたこと、なかった気がしたけぇ。いつかもう一度会えたら…ちゃんと、伝えたかった」
そう言って真っ直ぐ、あたしの瞳を見つめる。
あの頃と同じ色で。
同じ、感情で。
「…あおが、好きだった」