i want,

今にも消えそうな声で呟く。

言っていることがあまりにも現実的すぎて、この感情が夢なのかと思ってしまう。


どちらが夢なのか、今のあたしには、判断ができない。


止まらない涙を拭うこともせずに、ただ俯いて肩を震わせた。

ヒカルはそっとあたしから離れて、「…そう」と呟く。


ヒカルの体温が夜の空気に消えた瞬間、あたしは言い様のない後悔に襲われた。


…ヒカルが欲しい。

あの頃の感情を、今もまだ明確に抱くことができる。

いつまでもきっと消えないことだって、本当はわかっていたはずだった。


でも、あたしは弱かった。

その想いだけを抱えて、1人で歩くことなんかできなかった。


手を差し伸べてくれた優しさに、逃げてしまった。



「…そりゃ、付き合ってる奴くらいおるわな」


そう言ってヒカルは立ち上がった。

月明かりがヒカルで遮られる。
あたしは思わず、顔を上げた。


立ち上がったヒカルは、ただ真っ直ぐ前を見て。



「時間が…たちすぎたな」



そう一言、呟いた。


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