i want,

……………

シャワーを借りて、べたつく肌をすっきりとさせた。
頭も冷やす意味で、少しぬるめのお湯にした。冷静さを取り戻したかった。

ヒカルとあたしの関係。
友達?
幼なじみ?
元恋人?
どれも、自分の中にしっくりとこない。

なのに今の関係を壊したくないって、何だか矛盾している。
それは多分、一度ヒカルを失っているから。

あの、15歳の喪失。
もう一度あの感情を、味わいたくなかった。

お風呂から出ると、食器は既に洗われていた。
ヒカルがやってくれたのかな。そう思い部屋に視線を送ると、ソファーベッドの上でヒカルが横になっていた。

ペタペタと足音をたてながら、ヒカルの側に向かう。
近付くにつれ、整った寝息が耳に届くようになった。

ソファーベッドの横に腰を降ろす。
閉じられたヒカルの瞼。こうやって見ると、あの頃の面影を感じられる。

起こさない様に、そっと髪に手を触れた。
癖毛のない、茶色い髪。初めてヒカルが髪を染めた日を思い出す。

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