i want,
唐突に変わった話題に、あたしは思わず顔を上げた。
ヒカルは立ち上がり、キッチンに向かっている。
「…何で?」
「いや、関西で就活しとるけぇ、戻らんのかと思って」
あたしは少し俯いて、返事を躊躇った。
正直、地元ではあまり考えていない。
ここが好きだし、友達もいるし、企業も地元に比べたらやっぱり多いし。
それに、ヒカルがいるから。
後付けしたけど、多分、一番の理由が。
「ヒカルは…どうして欲しい?」
あたしの質問に、ヒカルは顔を上げた。
目が合う。ヒカルの中に、ずるいあたしが映る。
ヒカルにそれを聞いて、あたしは何が欲しいのか。
視線をそらして、ヒカルは言った。
「…あおの好きにしたらええが」
…どんな答えを、求めていたのか。