i want,


……………

「ちょっと、あお~」

ぐるぐる回る頭のどこかで、綾の声が聞こえた。

「んん~?」

声を出すと自分の頭にハウリングして、足元がふらつく。

「あっ、もぉ~飲み過ぎじゃよ」
「珍しいなぁ、あおがこんな酔うの」

「大丈夫」、そう言ったつもりが、呂律が回らなく「らいじょーぶ」になった。
何故か面白くなって、キャハハっと笑う。

「笑い上戸か」
「泣き上戸よりはましじゃな」

笑い上戸だったんだ。自分でもこんなに酔った事はなかったから、初めて知った。

「どうする?あお、南町の方だっけ?」
「卓也、送りぃや」
「わり、俺今日彼女が迎えに来るんよ。やけ南町に戻らん」

「役たたず~!」、綾達が卓也を非難する声を聞きながら、あたしは足に力が入らなくなりその場にぐにゃんと座った。

「あっ、あお~」
「駄目じゃ、一人じゃ帰らせれんわ」

卓也がため息をつき、「しゃーないけぇ送るわ」と携帯を取り出した。

彼女に電話するのかな。悪いな、あたしのせいで。
そう思うものの、上手く頭が回らない。

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