i want,
「何だかんだ、俺は後ろめたかったんじゃろなぁ」
肩越しにヒカルの声が響く。あたしは何の返答もせずに、その声に耳を傾けた。
「ガキじゃったけぇ。家でのやりきれん気持ちとか、全部、遊んでいきがっちょったら消える気がしとった。神野やら卓也やら…小学校ん頃からつるんじょる奴らには、俺の汚い部分を見せたくなかったんよ」
「じゃけぇ、違う奴らとつるんじょった」、道端に落とすように、ひとつひとつ話すヒカル。あたしはそれを、ひとつひとつ拾い上げる。
「煙草やって、学校にも行かんで…早く大人になろうとしよった。来る奴ら皆拒む尖ったナイフになりたかったのに、なりきれんかったんは…お前のせいじゃろうなぁ」
ふっと笑い、ヒカルの頭が動く気配がした。
「あお?起きちょるけ?…寝ちょるんかいな」
あたしは寝たふりをしながら、ヒカルの想いを全て聞きたいと感じていた。
あたしは聞いていないから。この夜に、全部置いてくから。
だから全部、吐き出して。