i want,
「あおを…俺は、巻き込みたかったんじゃ。あおだけは、手放したくなかった。何でじゃろうなぁ。他にも沢山おったじゃろうに…」
ヒカルの言葉が、あたしの身体のあちこちに入り込んで、あたしと同化していく。
「あおだけは、どんな俺でも一緒におってくれるって…いや、どんな俺でも、一緒におりたいって、そう思っとった。いつからじゃろうな…あおは、俺の指針になっちょった」
「ただの我が儘じゃな」、ヒカルは笑ってもう一度あたしを抱える腕に力を込める。
「あおは、俺の真ん中じゃった。やからこそ、多分誰より傷付けたし、誰より求めた」
一呼吸置いて、そして、一言。
「ごめんな」
そう、呟いた。
…ヒカル。
ヒカルはあたしにとって、欠かせない存在だった。
どんなに傷付いても、辛くても、バカのひとつ覚えみたいにヒカルを求めていた。
それは、今も変わらずに。
「…あお?寝たけ?」
「寝たか」、ヒカルは笑って、もう口を開くことはなかった。
ただゆっくりと、あたしを起こさない様に、足を進める。
満天の星空が、あたし達の帰路を優しく照らす。