i want,
二人
……………
同窓会も終わり、大学の友達との飲み会の予定もあったから、明日にでも戻ろうかと考えていた頃だった。
荷造りをしていた午後2時の昼下がり。机の上にあった携帯が揺れた。
鞄のジッパーを閉め、携帯を開く。
予想していなかった名前に、一瞬心臓が跳ねた。
『あお、まだこっち?』
ヒカルらしい、素っ気ないメール。
あの同窓会の日以来だったから、メールだけでも妙に緊張する。
『うん。明日帰るつもりだけど』
簡単に打って送信ボタンを押す。
ものの一分もしない内に、返信ランプが光った。
『今日夜7時くらいに、小学校の校門前来れる?』
…小学校の校門前。
懐かしさ溢れる場所の指定に、あたしは多少の戸惑いを覚えつつ、『大丈夫』と返信した。
しばらく待ったが返信がなかった為、多分それでということなのだろう。
あの日、ヒカルの想いを聞いてから、正直あたしはどうしていいのか迷っていた。
あたしの気持ちはもうわかっていた。
期待したくない、考えたくない、そう繰り返してきたけど、戻る場所はいつも同じだったから。
ヒカルの想いも聞いた。
でも、今のヒカルの気持ちはわからない。