i want,
「教室は何か覚えちょる」
「なーんか俺ら、いっつも席替え隣じゃったよな」
「そうそう!まぁた垣枝かぁっち思いよったわぁ。その度みどの機嫌が悪くなるけぇ、内心焦りよったし」
思い出して笑うあたしに、ヒカルが視線を寄越した。
その視線の意味を察し、あたしはふっと微笑む。
「もう昔の事じゃけぇ。全部笑って話せるよ」
「…ほうけ、」
ヒカルも小さく笑い、歩き出す。
そのヒカルの背を見ながら、あたしはずっと、この背中を追いかけていたんだと思い出す。
みど達とうまくいかなくなった頃。
さとや卓也達がいたから、あたしは寂しくなかった。
それでもずっと救いを求めていたのは、この背中。
救ってくれてたのも、ずっと。
「そういや中学に入ってすぐ、小学校に泊まったよなぁ」
校庭に戻り、ヒカルが思い出した様に言った。
「そうやったね!さとらぁが大川先生にかけあってくれて…真依も来て、楽しかったなぁ」
「あの頃から、あおの髪が明るくなりよった気がする」
「そうじゃね」、思い出して、二人で笑う。
「バスケして、カレー食べて、夜は校庭で花火もしたよね」