i want,
……………
小学校から中学校はそれ程遠くはない。
あたしはヒカルと並んで、二人よく通った道を歩いた。
中学校の門は何故か開いていて、小学校みたいによじ登ることもなくすんなりと入れた。
「不法侵入じゃ」
「卒業生じゃけぇえぇんよ」
理由になっていない理由を口にし、ヒカルは堂々と校舎裏へと向かう。
「何でこっちなん?」
「ん?えぇ入り口を知っちょるんよ」
ヒカルが指差す方。一階の渡り廊下に続く、小さなフェンス。
「こっから校舎に入れる」
たたっと駆けて、ヒカルはひょいっとフェンスを越える。
「大丈夫なん!?」と小声で叫ぶが、ヒカルがニッと笑って手招きをするから、あたしもちょっと辺りを見渡してからフェンスを越える。
「見つからん?」
「大丈夫じゃって。校内誰もおらんし」
廊下を渡り、靴を脱いで校内に足を踏み入れた。
ひんやりとした廊下。
感じる空気が、一瞬あの頃と同じものの様な錯覚を覚える。
「懐かしー…」
渡り廊下の端の階段。
綾達といつもたまっていた踊り場がある。
思い出が次から次へと脳裏を駆けた。