i want,
「あお、目立つの好きじゃ」
「好きじゃけど、練習めんどいんじゃもん。しかもみんな見に来るし…さすがに恥ずかしいっちゃ」
「えーなんで。姫の舞めっちゃ綺麗じゃあ」
「それが嫌なんちゃ」
腑に落ちない顔をしている真依。
あたしはストローを噛みながら、「舞の話、一応内緒ね」と話をまとめた。
毎年神楽の最後にある二人の姫の舞。
幼い頃からそれを見てきたあたしは、それがどれだけ綺麗かはよくわかっていた。
だからこそ、自分が舞うことに抵抗がある。
自分の中の姫の舞に対するイメージを壊したくない。
手の届かない存在であって欲しかったのだ。
毎年楽しみな神楽だけど、今年だけはどうしても憂鬱な気分を隠せなかった。