i want,


……………

いつもは穏やかで静かな田舎村だけど、今日はざわざわと多くの人達が出入りしていた。

祭り囃子と屋台の香りが夜の神社に響き渡る。
今日はいよいよ、神楽の日だ。


「でも、ちょっと一緒に回れてよかったねーっ」

綿菓子をつつきながら、真依が笑顔で言った。

「うん。よく考えたらあたしの舞最後ら辺じゃしね。それまでは遊べるわぁって」
「でも、あおが舞やるんかー。なんか友達が舞うって、ドキドキするっ」

紙コップに入った焼き鳥を取り出して、歩夢がぴょこぴょこと跳び跳ねる。
あたしは溜め息と共に、「もープレッシャー与えんでっちゃ」と返した。


結局自分の出番までは自由にしていていいことになり、あたしはいつものメンバー、真依、歩夢、みどと一緒に祭りを回っていた。

と言っても回る程屋台があるわけでもなく、少ない屋台の食べ物を買い込んで、神社に付属している公園の滑り台でお喋りしながら食べているんだけど。

祭り囃子が夜の空に鳴り響く。やっぱり、この雰囲気は好き。

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