i want,
「今誰が舞いよるん?」
「時間的に誠と祐兄かなぁ。剣の舞じゃない?」
「見に行く?」
「ちらっと見てみよか」
ある程度食べきってしまったあたし達は、神楽が行われている境内に向かうことにした。
先にも述べた通り、舞を披露するのは若い子達がメインになる。
だからこそ、この辺りの子ども達のほとんどはこの祭りに遊びに来るのだ。
小さな神社の小さな祭りだけど、子ども達にとっては一年の内のお楽しみのひとつにもなっていた。
…「あ、神ちゃん達じゃ」
手羽先を買っていると、後ろで真依が言った。
視線を動かすと、境内の近くにさと達が見える。
「げ、ほんまじゃ」
「やっぱ来ちょったねー。つか、基本みんな来ちょるじゃろ」
「えーもーやだーっ」
手羽先を受け取りながら、あたしは空を仰いだ。
「あお、舞のこと言っちょらんのんけ?」
「言っちょるわけないじゃ!真依達しか知らんよ」
「でもどーせ今からばれるじゃろ」
「もー嫌すぎ。さと達帰らんじゃろうか」