i want,
怨めしそうにさと達を見たが、あたし達と同じように綿菓子やら焼き鳥やらを買い込んでいる彼らに、帰る兆しは全く見えない。
と、さとがあたし達の方を向いた。
どうやら気付いたらしく、隣の男子達の肩をつついてあたし達の方を指差す。
あたしは咄嗟に、視線を反らした。
「げ、あいつらあたしらに気付いたわ」
歩夢の一言で、益々視線を戻しにくくなる。
黙って俯いたまま、みんなの会話にだけ耳を傾けた。
「誰が来ちょー?」
「えー、神ちゃんと卓也と福山と…あ、田口と垣もおるわぁ」
「えー、なんで来ちょんよー」、そう言いながらも、みんなのテンションがにわかに上がったのがわかる。
代わり映えのない毎日。だからこそ、こんな非日常的な場面は特別で。
教室の中、制服で会う友達と、夜の神社、私服で会う友達とは全然違う。それが異性なら、尚更だろう。
みんなどこか、いつもとは違う気がする。
そんな錯覚が、夜の祭りには芽生える。
テンションの上がるみんなとは裏腹に、あたしは憂鬱な気分を隠せずにいた。