i want,
……………
境内から、鈴と太鼓の音がバランスよく響いていた。
今は何番目の舞なんだろう。
あたしはあと何番目なんだろう。
「あ、ちょっと動かんときぃ!」
首を伸ばして題目を見ようとしたが、あたしに化粧を施していた恵姉に怒られた。
「あと何番目?」
「こん次の次くらいじゃろ。今、爺の舞じゃけぇ」
「はぁ…憂鬱じゃ」
「恵姉が綺麗に仕上げちゃげちょるんじゃけぇ、頑張りんさい」
白粉を塗るために瞼を閉じたまま、嫌々頷く。
恵姉は今大学生。
恵姉があたしくらいの年の頃、同じように舞を舞っていた。
幼心にとても綺麗だったのを覚えている。
いつもの恵姉じゃなかった。
神様みたいだった。
それをあたしがやるなんて、荷が重すぎるよ。