i want,
…世界が、あたし。
大袈裟な言葉だったけど、何故だか心が凄く落ち着いた。
境内に出たら、主役はあたし。
学校でバカにされようが、構いやしないじゃない。
その瞬間、あたしが恵姉の舞に感じた様な畏怖心をみんなに少しでも抱かせることができれば、それでいい。
体の芯から、ふつふつと小さな自信が沸き上がってきた。
緊張が興奮に変わる。
祭り囃子が音色を変える。
…やってやる。
今のあたしなら、出来そうな気がする。
「あおいちゃん、次やよ」
誠のおばちゃんが呼びに来た。
あたしは軽く深呼吸をして、「はい」と丁寧に答える。
鏡の中のあたしに言った。
大丈夫。
この夜を、支配してみせる。