i want,
「いつから練習しよったん?」
「神楽?」
暗闇の中、垣枝はするするとチュッパチャップスの袋を取りながら頷く。
「一ヶ月くらい」
「それであれだけ踊れるんけ」
「基本的な動作覚えたら、後はその組み合わせじゃけ」
「ふぅん」、聞いてる様な聞いてない様な返事。
自分が聞いてきたくせに。軽くため息をついて、膝の上に頬杖をついた。
「…えらいふてぶてしい顔で見よったよね」
「あ?」
「あたしの舞。なにそれって思ったし」
あの衝動を言葉に表すこともできなくて、自分でもよくわからない聞き方をした。
垣枝の反応で、あの衝動の正体を知れるかと思ったから。
「…お前、」
垣枝があたしの方を向いた。
朧月が、その顔を浮かび上がらせる。
何か言いかけたみたいだったけど、多分それをやめて違う言葉を選んだようだった。
「あの舞、どんな意味があるんけ?」
「意味?」
あたしの言ったことに対する反応じゃないって思ったけど、それには触れないことにする。