i want,
「修学旅行の準備すんだ?」
「だいたいね。誠、またおばちゃんに全部やらせちょるんじゃろ」
「まぁなー」
極度のめんどくさがりやの誠が、自分でせっせと荷物をつめるなんて考えられない。
呆れた視線を送ってから、軽くため息。
白い息かと思ったが、まだそこまでじゃなかった。
「誰と同じ班なん?」
「誠に言ってもわからんじゃろ」
「男子は知っちょるかもよ」
「さととか、卓也とか」
「へぇー。まぁあお、仲いいしな」
そのまま話題は違う所に移った。
心の中で、ほっと息をつく。
女子の話題にならなくてよかった。
…多分木々の葉が完璧に染まる頃、あたし達は小学校最後の一大イベント、修学旅行へ向かう。
行き先は広島。一泊二日の短い旅だ。
旅行をどれだけ楽しく過ごせるかは、その班のメンバーにもよるだろう。班決めの日は、いつにもまして皆落ち着きがなくて。
でもあたしにとって、あんまり楽しいものではなかった。
自分が入る班がないわけじゃない。むしろもう、暗黙の了解で決まってるようなもの。
その班が、あたしには居心地が悪かった。
…最近、みどとうまくいってない。