i want,
というより、最近それが顕著になっただけで、うまくいかなくなったのは、みどが垣枝に振られてからだと思う。
基本的には一緒にいた。
グループが同じだから、それは仕方ない。
でもそれ以上がなかった。
例えば、家に遊びに行ったり、どこかに出掛けたり。
些細なことかもしれない。
でもその些細なことが積もれば積もる程、溝は少しずつ深くなる。
みどだけじゃなかった。連鎖反応の様に、他の女子にも飛び火していく。
気付いたらあたしは、上っ面の笑顔しか出さなくなっていた。
比例する様に、女子といるより男子といる方が多くなる。
真依くらいだった。何の隔たりもなく、あたしと一緒にいてくれるのは。
…「あ、迎え来た」
誠の声で意識を戻す。
坂の下から、誠のおじちゃんのトラクターが見えた。
「修学旅行の買い物、小倉まで連れてってくれんかのぅ」
「あのトラクターじゃ無理でしょ」、笑いながら突っ込みを入れる。
小学六年の秋。
期待と不安を抱えたまま、秋の入り口を迎えていた。