i want,


……………

修学旅行の朝は、いつもに増して寒かった。

有希のおばちゃんに駅まで車で連れて行ってもらうと、既に浮き足立った子ども達でいっぱいで。

バスが三台程あった。
多分あれが、あたし達を広島まで運ぶのだ。


「じゃーあおちゃん、またね!」

有希と誠と別れて、あたしは自分のクラスのバスに向かう。

バスの前に群がるクラスメイト。多分これから点呼なのだ。

「あ、あお!おはよーっ」

あたしに気付いた真依が手を挙げた。
周りにいたみど達もあたしの方を向く。

「おはよ」
「今日寒くない?広島あったかいかね~っ」

真依はスカートから覗いた長い足を両手で擦った。
あたしも「だよね」と腕を擦る。

みど達とも挨拶を交わした。

でも、それだけだった。


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