i want,
……………
「あお、ポッキーいる?」
真依が差し出してくれた赤い箱から、「ありがと」と一本ポッキーを抜き取った。
ざわついたバスの中。広島に向けて発車した三台のバスは、悠々と高速道路を駆けて行く。
バスの中での座席はあたしと真依、みどと歩夢で、多分それは、真依が気を使ってくれたからで。
まるで一年前の、ふれあいフェスタの時のあたしみたい。
たった一年前なのに、はるか昔の出来事のよう。
「あはっ、あお、ほっぺにチョコついちょるじゃ」
「うそ、どこ?」
「ちょっとまちぃね」、笑いながら真依は、鞄の中からポーチを取り出した。
青いそれは、やっぱり既視感。
『真依も持ってきたじゃろ?』
「…それ、」
思いきって聞いてみる。
真依も気付いて、「あ」と呟いた。
微妙な空気が二人の間に流れる。
意を決したのは真依の方だった。
「あお、さ」
軽く息をついてから、言った。
「みどと…何か、あった?」