氷の女王に口付けを
大介が声を荒げる。
本当にわざとなのか?
リンクにいる選手達は心配そうに美優の様子を見ているが、あの選手だけは伸び伸びとジャンプを決めていた。
あれだけ派手に転んだのに、全く痛みなど感じさせていない。
ぶつかることが分かってたから、受け身がとれて無傷だったってこと?
美優はまだリンクに倒れたまま。
意識はあるみたいだが、苦痛で顔が歪んでいる。
このまま棄権。当たり屋の策略にまんまと嵌って―――
「……そんなの嫌だ」
途中棄権の悔しさは、俺が一番分かってる。
それになにより、あんな卑怯な手を使う奴なんかに負けてほしくない。
「よくもミューさんを……ぶっ飛ばしやる!」