氷の女王に口付けを

今にもリンクに乗り込もうとする大介を止める。


大介は俺を睨みつけるが、両肩を掴んで無理やり椅子に座らせた。


「なにすんだよ! ミューさんがあんな目にあって悔しくないのかよ!」


「大介の気持ちは分かるけど、ここで問題を起こしたらお前はフィギュア界から追放されるぞ。そんなことになったら、結果として美優が悲しむ。それに相手は女性だ。暴力はいけないだろ?」


「だけど!」


「大丈夫。美優はそんなに弱くない」


リンクの美優は四つん這いになりながら脇腹を押えている。


モニターに美優の顔が映る。


あの目、まだ諦めてない。棄権する気なんて全くない。


今の俺は美優の側に行くことも、相手の選手に抗議をすることもできないけど。


だけど。


「I will be angry if it gives up!」
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