氷の女王に口付けを

奥さんもクスクス笑い声を溢しているし、というか俺が鈍感とは聞き捨てならない。


「指導者なら覚えておきなさい。たった一言の魔法の言葉が、百日分の練習時間に相当することもあるんですよ」


「精神論はいいですから、それより俺が鈍感というのはどういうことですか!?」


「マイクじゃ拾い切れなかったみたいですが、まさかシニアに上がってタク君のアレを聞けるとは夢にも思いませんでしたねぇ」


「人の話を聞いてください!」


嗚呼もう、やだほんとこの人。


先生だけには敵わない。


……て、俺はなぜ先生の家に来たんだっけ?
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