氷の女王に口付けを
マスコミの垣根に突進するが、努力も空しくはじき返された。
そりゃそうだ。
相手は大柄のロシア人。大介が突っ切るには、いささかパワー不足だ。
背が低いからね。
俺は頭を使って突破しよう。
一先ず裏口へ向かうが、もちろんそこにも人の山。
正面玄関よりかは少ないが、とてもじゃないが突破できそうにはない。
だけど、このくらいの人数ならなんとかなりそうだ。
えーと、確かロシア語で……。
「Пришел с фронта!」
上手く発音できたかな?
記者達は俺の拙いロシア語を聞き取れたみたいで、我先にと正面玄関へと走って行った。