氷の女王に口付けを
VIPルームというだけあって、個室なのに中はとんでもなく広い。
ベッドもダブルサイズぐらいはあるし、本当に金がかかっているなーと呑気に考えていた。
「本当にゴメン。まさか着替えてるとは思ってなくて」
「まあいいけどね。小っちゃい頃は二人でお風呂なんてしょっちゅうだったし」
いやいや、そんな大昔と現在では全く次元は違うでしょう。
とはいえ、元気そうで何よりだ。
「怪我の方が大丈夫なのか?」
「うん。全治一週間らしいけど今はもう大丈夫。痣も時間が経てば消えるって。本当は今すぐにでも日本に戻って練習したいけど、騒動が治まるまでここから出るなってスケ連の人からお察しがあるんだ」
「なるほどな。まあこの騒ぎじゃ出るに出られないか」
「ほんとだよー! おかげで表彰式もエキシビションも出れないし。再来週はNHK杯があるから早く滑りに行きたーい!」
「そんだけ元気なら大丈夫だな」