氷の女王に口付けを

脳裏に蘇るあの光景。


あー! 忘れろ俺!


動揺した動揺してないで言い争いが始まって、挙句の果てに看護士さんに怒られた。


ロシア語だから意味は分からなかったけど、あの表情を見れば言葉の壁なんて関係ない。


本当にここは恐ロシアだな、なんて冗談を言い合って、日も暮れかかったので帰る準備を始めた。


「今日はありがとね。明日日本に帰るんでしょ?」


「嗚呼、アメリカ大会までに立て直さなきゃいけないからな」


「そっか。それじゃあ、気をつけてね」


「美優もな。あんま無茶すんじゃないぞ?」


別れの挨拶をすませる。


病院の外にはチラホラ報道関係者が残っていたが、ここに来た時よりは明らかに少なくなっていた。


この騒動も時期に治まるかな?
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