氷の女王に口付けを

俺の言葉に、大介が辺りを見回す。


看護士や患者の冷たい視線に気づいたのか、より一層顔を真っ赤にさせてシュンッと肩を落として小さくなった。


怒りに任せて叫ぶのは今も変わってないようだ。


「それで、本当になんで入らないの~?」


「……あいつがいるから」


肝心の人物名が出てこなかったが、チビ助の声色と様子を見れば誰がいるのかは推測できる。


ふーん。チビ助も一応空気読めるんだ。


いや、二人のラブラブっぷりを間近で見たくないということか。


本当にミューちゃんのことが好きなんだ。


一途というか無謀というか。まあ、そこがチビ助の良いところではあるんだけど。


「そっか。じゃあお邪魔虫は帰るとしますか」


実はロシアに着いて一目散にこっちに来たから、全然寝てないんだよね。
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