氷の女王に口付けを

どどどど、どうしよう!?


これって俺が悪いんだよね? 俺が泣かせたんだよね?


どうしよう。どうしようどうしようどうしよう―――


「わ、わかったよ! 五輪が終わったら龍君の振付師になってあげる!」


ピタッと、龍君が泣きやんだ。


顔を上げると、そこにはうっすらと笑みが浮かんでいる。


あれ? 涙の跡がない。


て、まさか……!


「やったー! ありがとうございますタクさん!」


「ちょ、龍君。もしかしてさっきのは嘘泣き!?」


「男に二言はありませんよね、タクさん!」


嗚呼、あの笑顔を向けられたら怒るに怒れないじゃないか。
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