氷の女王に口付けを
GPシリーズの二戦を通して課題を見つけ、ピークをここに持ってきた。
連戦続きの大塚と羽生には疲れが溜まっているし、全日本に向けての調整期間がほとんどない。
俺達唯一のアドバンテージ。
このアドバンテージで、どうにかして三位以内に滑りこむ。
そのためにまずは得意のSPで首位に立つのが目標だったが……。
いやはや、案外計画通りいくものだな。
SPが終わって82.65。
国内大会は国際大会より点が出るが、まずまずといった所だろう。
二位は羽生。スピンやステップの取りこぼしが響いて81.25。
ほぼ僅差。点差などないに等しい。
そして意外なことに、三位は五輪経験者で唯一世界選手権のメダルを持っている大塚だった。
3Aの転倒が響いて78.48。決めていればトップを独走していただろう。