氷の女王に口付けを

この点差は大きい。


ただでさえ苦手なジャンプ。だから極力負担を減らすために前半に集中させて、尚且つ最初の3Aをコンビネーションにした。


この重圧に耐えられるか?


アクセルの軌道に入る。


助走のスピードがいつもより僅かだが早い。


イケるか。どうだ。


緊張の一瞬。タクの身体が跳躍する。


一回、二回―――


「よっしゃあ!」


思わずフェンスを叩いていた。


文句なしの3A-2T。あんなに綺麗な3Aは初めて見た。


タクの表情にも笑顔が灯る。
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