氷の女王に口付けを

立ち漕ぎ開始。


ぶんぶん激しく揺れるブランコ。懐かしいな、めっちゃ楽しい。


最後に手を離してジャンプ!


タク選手、見事着氷。


脳内ナレーションで解説すると、パチパチとどこからか拍手が送られた。


「ナイス着氷ですね、タクちゃん」


見られた。美優に見られた。


顔が熱くなる。恥ずかしい。


「ま、まさか、全部見てたとか?」


「立ち漕ぎなんて危ないことしちゃいけないよ~。子供が真似しちゃうからね」


笑みを含んだ表情で、美優は近くのベンチに座った。


嗚呼神様、どうか美優の脳からさっきの部分の記憶だけ切り取ってください。
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