氷の女王に口付けを
なんてお願いしたところで無駄だけど、そう願わずにはいられない。
美優を呼んだのは俺。
試合前はお互いピリピリしてるから、なかなか話し合う機会なんてなくて、ようやくこうして面と向かえることができた。
別にホテルでも良かったんだけど、何故か美優が公園がいいというから待ち合わせ場所をここにした。
俺もベンチに座る。あー、恥ずかしくて死にそう。
「そんで、お話とはなんざんしょ?」
「えーと、美優に謝らなくちゃいけないなと思って……」
「謝る?」
キョトンと不思議そうに見つめ返す。
本人は全く気にしていないようだ。
そりゃそっか。気にしてたら病院内であんなふざけたこと言わないもんな。
「ロシア杯の時、美優に酷いこと言っただろ。やっぱフィギュア関係のことはしっかり謝っておかなくちゃと思ってさ。だから、その……」