氷の女王に口付けを
一気に滑りやすくなったんだ。
あの時俺が感じた想いを、そのまま滑ればいいだけだから。
「……なーんてね、ははっ」
笑って誤魔化す。
美優の左薬指には、俺が渡した指輪が嵌められていた。
『試合のときに付ける』
手渡した時、美優が言った言葉。
その言葉通り、美優は試合の時にだけその指輪を付けていた。
羽生さんに貰った疑惑がある指輪は外して、俺の指輪を。
「ふーん。それって傍から聞けば、プロポーズの言葉だよ?」
「はぁ!? どこをどう聞けばプロポーズになるんだよ?」
「タクちゃんがあの時ピリピリしてたのは試合前の緊張感から来るものだと思ってたけど、本当は指輪をしてなくてモヤモヤしてたんだね~」