氷の女王に口付けを

だが美優は現在世界選手権二連覇中であり、歴代女子の最高得点を叩き出している。


1000年に一人の逸材といわれる彼女に、盲点などどこにもない。まさに完璧スケーター。


この作戦を実行するには、問題点が多すぎる。


けれど羽生の顔から笑みは消えない。


この作戦に絶対的な自信があるらしい。


「実はスケ連の会長さんから非公式のルートで聞いた話なんだけどね~」


「チョイ待てっ。なんでスケ連会長と連絡とれんだよ! てか非公式のルートってなんだ!?」


「チビ介は知らなくていいことだよ~。それで、会長さんが言うには……」


羽生は言う。


「『女帝』と『魔王』が来季から復帰するらしい」


大介の表情が凍る。


おちゃらけモード全開だった羽生も、この二つのキーワードを口にする時は真剣な面持ちだった。
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