氷の女王に口付けを
「なんでもないわよ。隙ありっ!」
「んあっ! 私の卵焼きがぁあああ!」
まさに早業。
目にもとまらぬ速さで私の弁当箱から卵焼きをかっさらい、口へ運ぶ。
最後の一個だったのに。最後の最後に食べようと残してたのにー!
「あ、この卵焼き私好みで美味しい」
「こんちくしょうめ、この恨みはきっと三百倍にして末代まで呪ってやる……」
「ミューちゃんそれ呪いすぎ。それより、さっきから入り口でタク先輩が手招きしてるよ」
「「えっ?」」
舞と声が被った。
教室の入り口に目を向けると、確かにそこにはタクちゃんの姿がある。
なんで二年の教室に?