氷の女王に口付けを
軽く滑りながら挨拶周り、そして何も知らずに私達に近づいてくる。
「やあ、久し―――」
「やっほ」
ひょこっと背中から飛び出すと、タクちゃんの表情は固まった。
そして無言のまま去ろうとする。
ちょちょちょ、ちょっと待てって!
逃げる背中を追いかけて、上着の裾を両手で掴む。
逃げるな少年。逃がしてたまるかってんだ。
しぶしぶといった感じでこちらに向き直るタクちゃん。
表情は引きつったままで、なんだかおかして笑える。ははっ。
てな感じで、この状況に至る。
「……で、なんですかこの手は?」