氷の女王に口付けを

「だから結婚してからする……うわぁっ!?」


頭を抱えて独り言を呟いていたせいで、背後にヤマトが立っていることに気付かなかった。


まさか、全部聞かれてた!?


「どうしたお前、顔真っ赤だぞ。熱でもあんのか?」


「大丈夫だから! 決して如何わしいことなんて考えてないから!」


「(いかがわしい?)へーそう」


ヤマトは前の席の椅子に跨ぐように座り、俺と向かい合う格好になる。


ジーと射るように俺の瞳を真っ直ぐに見詰めてくるから、咄嗟に顔を逸らしてしてしまった。


「悩みがあるなら相談に乗るぜ。もちろんスケート以外だけどな」


ニカッと笑みを作るヤマトだが、果たしてヤマトに相談してもいいのだろうか。


ううん、相談した方がいい。


女の子にモテるヤマトなら、なにかしらのアドバイスがもらえるかも知れないし、美優に関する情報も持っているかも。
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