氷の女王に口付けを
俺は有香さんと交わした契約のことをヤマトに話した。
もちろん、例の部分ははぐらかしたけれど。
ヤマトは真剣に聞いてくれて、全て話し終えると小さく頷いた。
「なるほどね。つまりその有香さんという人は、ミューちゃんが彼氏とエッチして子供が出来たら大変だと危惧してるわけか」
「おまっ、そんな露骨な表現はやめろ!」
「露骨って事実だろ? それにミューちゃんも立派な女の子だし、そういうことがあってもおかしくない年頃じゃねーか」
美優が立派な女性?
なんだろう。すごく違和感がある言葉だな。
妹みたいな存在だからか、どうも『女性』という言葉ピンとこない。
「だからって、まだ十六だぞ。そういうのは大人がするもので、心配するのもどうかと俺は思うんだけど」
俺の発言に、ヤマトの表情が凍った。