氷の女王に口付けを
サン=サース。死の舞踏。
ピアノの旋律がクレイジーでダークな雰囲気を醸し出す楽曲。
確か、墓場の骸骨が踊りだすという詩を元に作りした曲だと聞いたけど。
夜中の12時に死神が墓場に表れて、死神がヴァイオリンを奏でると墓場から骸骨たちが現れ、朝まで激しく踊り狂うという感じの話だったような。
俺が演じる役は―――
「骸骨です」
「その心は?」
「心といわれても困りますけど、骸骨を演じようと思います。僅かな間しか踊ることが出来ない骸骨、一時の楽しみの後に訪れる死や絶望、狂喜の中に眠る悲しみというか……そういう感じが出せればいいかなーなんて」
恥ずかしくなって最後は笑って誤魔化したけど、有香さんはパチパチと拍手を送ってくれた。
「それだけ考えていれば大丈夫そうね」
どうやら合格点がでたそうだ。